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平成4年度第59回NHK全国学校音楽コンクール高等学校の部 [NHKコンクール]

ポパイ:N君からビデオテープを貸してもらい、平成4年度NHK全国学校音楽コンクール高等学校の部を鑑賞した。
16年前のイベントだが、この頃はまだ吹奏楽に熱中していて、合唱には全く関心がなかった。
合唱を始めた約9年前から、NHK全国学校音楽コンクールはテレビで毎年鑑賞している。
現在はNHKホールにて開催されているが、以前はNHK支局内のスタジオ収録、県大会時の収録、別会場での収録による録音審査で、生演奏を聴いての審査ではなかった模様。
録音審査と生演奏審査、会場の響きや臨場感に相違があるから、審査は困難であったであろうと感じた。

【出場校及び審査結果】
 北海道ブロック代表:札幌手稲高等学校(混声)  指揮:伊藤光也  銅賞
 東北ブロック代表:安積女子高等学校(女声)   指揮:菅野正美  金賞
 関東甲信越ブロック代表:千葉東高等学校(混声) 指揮:小川巧   銅賞
 関東甲信越ブロック代表:府中西高等学校(混声) 指揮:大久保省三 銀賞
 東海ブロック代表:名古屋市立北高等学校(混声) 指揮:塩田秋義  銅賞
 関西ブロック代表:淀川工業高等学校(男声)   指揮:高嶋昌二  銀賞
 中国ブロック代表:松江北高等学校(混声)    指揮:勝部俊行  銅賞
 四国ブロック代表:坂出高等学校(女声)     指揮:堀川正彦  銅賞
 九州ブロック代表:宮崎女子高等学校(女声)   指揮:有川サチ子 銅賞
 
一気に鑑賞して、安積女子高校(現在の安積黎明高校)、府中西高校、淀川工業高等学校、宮崎女子高校(現在の宮崎学園高校)の4校が上位入賞で、安積女子高校が金賞かなあと思っていたら、その通りの審査結果であった。
 ▼安積女子高等学校 自由曲:六月 「女の肖像」より
  安積女子と言えば、自然で無理がない柔らかな発声、音楽が自然に流れていて、
  美しい響きといった評価に尽きる。 
  いやいや、素晴らしい!
  近年は往年のサウンドではなくなってきたと言われているが、それでも発声の
  伝統が脈々と後輩へ伝わり、指導者が変わっても、全国大会連続30年近く金賞
  受賞とは凄いの一言。
 ▼府中西高等学校 自由曲:Zefiro Torna
  男声、女声共に充実した声を有し、混声5校の中では4声のブレンド感、パート
  バランスとアンサンブル能力、安定感が一番。
  自由曲の後半、テナーの高音が詰まっていたが、大きな傷とは感じず、終始飽
  きることなく聴けた。
  モンテヴェルディの曲、良いなあ。
 ▼淀川工業高等学校 自由曲:OH MY SOLDIER 「IN TERRA PAX」より
  非常に熱い、聴衆に奏者の気が伝わる堂々たる演奏。
  高校生であるが、すでに大人の表現(緩急の歌い廻しが上手)で感心した。
  男声合唱としては珍しいが、サウンドがとても柔軟である。
  合唱経験者がほとんどいない状況で、全国レベルを維持していることに驚く。
  当時から、飯(めし)やジュースを餌に新入生を上手に騙して勧誘していたよう
  で、NHKプロジェクトXの内容は本当であった。
 ▼宮崎女子高等学校 自由曲:椎やなるな 南島歌遊びその3「映像」より
  ソプラノの明るくて芳醇な充実した声が大変印象的で、最後のHを恐ろしい位に
  ぴたりと決めていた。
  全体のサウンドは透明感があり、淀川工業高と同様に大人の表現力を持っている。
  
課題曲は「ありがとう」[詩:高野喜久雄 曲:鈴木輝昭]
鈴木作品特有の緊張感がある和声はあまりなく、まっすぐな暖かいメロディとハーモニーが続き、聴衆には心地良さが伝わる曲。
前年の課題曲は、現在でも人気がある名曲「聞こえる」[詩:岩間芳樹 曲:新実徳英]
翌年の課題曲ということで、様々な期待やプレッシャーがあったであろうが、大変上質な作品として仕上がっている。
何故もっと全国の合唱団に、広く歌われないのであろうか。

審査員は、中田喜直氏[審査委員長]、新実徳英氏、岸信介氏、高嶋みどり氏、栗山文昭氏、宇野功芳氏、小山章三氏、加賀清孝氏、NHK文化部長の計9名。
16年前の映像であるから、皆さん、非常にお若い。
講評は審査員が順番で1校ずつコメントする企画で、1校あたり1分30秒弱の時間を要して、上面の適度な感想だけではなく、演奏上の課題や今後の方向性について、きちんと説明している。
印象に残ったのが、宇野功芳氏(音楽評論家)による府中西高への講評であった。
【 今回使用した楽譜は、後日他者が強弱等の表情を付け加えた楽譜である。古い音楽は元々はそれほど強弱がついていないので、原譜で練習した方が良かった。 】
テレビを通じて、こんなにはっきりとした耳の痛いコメントは、なかなか言えない。

今年も、10月にNHK全国学校音楽コンクールが開催される。
毎年話題となる課題曲であるが、ポップス偏重であった近年の流れから、少しだけ軌道修正されたようで期待したい。

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タカユキ

16年前のNコン全国大会。えっとー、自分も歌ってましたよ現役で(汗)
宇野先生の講評は的を射てましたね。当時の先生は音楽に物語性というか、表現の幅を持たせてドラマティックに聴かせる演奏を目指していたので、外国語の曲でも流れるようなフレーズよりも大胆な表現を求められました。
今の母校は楽譜に忠実過ぎて面白みが無い気がしてしまうので、やっぱり高校時代にあの先生だったからこその銀賞だったのかもしれないなーなんて思ってます。
現在の母校は知っての通り、メンデルスゾーンをよく取り上げてますが、もう少し声に厚みがあればいいのになーなんて個人的には思います。

宇野先生は、後に後輩が全国大会に行った時にも講評してくださったのですが、
「表現力は非情に豊かなのですが、響きが浅いため審査員の評価が一番割れました。2位や3位につける人もいれば、最下位につける人もいて、総合的に入賞はなりませんでしたが、今後は声の響きをより勉強していかれたら宜しいかと思います。」
という講評をしていて、うちらの中では宇野先生は府中西は好みでないのだろう…なんて思っていました。

しかし、うち以外の3校は今でも全国大会の常連校。強いところは時代が変わっても受け継がれていくのですね。
by タカユキ (2008-04-13 01:47) 

malechoirpopeye

恐らくタカユキさんが出演されているであろうと思いながら、鑑賞していました。
素晴らしい経験でしたね。
優れた指導者と結束力が強い仲間に囲まれて合唱ができ、客観的な高評価を得て晴れ舞台に立てたこと。
羨ましいです、本当に。
大変くどいのですが、【一度だけ】で良いので全国大会の晴れ舞台を経験したいです。
本当にくどいです(笑)
何とか今年に賭けたいというのが本音...

淀川工業高校は高嶋先生が退職されたり、部員数が減少したり等で苦労しているようですね。
男声合唱の灯を消さずに、レベルを維持しながら頑張って欲しいと思います。

今年の東京男フェス合同演奏指揮者は期待できますよ!
どうぞお楽しみに。

by malechoirpopeye (2008-04-13 11:52) 

タカユキ

本当に何気なく受験して、何気なく入部した部活が全国レベルってだけだったので、公欠で学校を休めたりして大ラッキーな高校時代でした(笑)
まぁ、そのおかげで、自分の音楽としての方向性みたいなものが決まったようなものですが。

全国大会はホントに楽しいですよー!自分らの合唱が評価されるドキドキ感ももちろんですが、全国で選ばれた高レベルの合唱が生で聴けますからね。
いくらNコンのテレビで聴いていたとしても、やっぱり生で高校Bで聴く安積や宮崎の演奏は凄いですもん。

しかし…お互いに今年の全日本で全国大会に出場したとして、男フェスの本番が全国大会の翌日になっているので、万が一全国大会に出れたとすると、男フェスはちょっと厳しいスケジュールかなーって話が先日出ました。。。

うちとしては出たいイベントではあるんですけどね(汗
by タカユキ (2008-04-14 22:50) 

malechoirpopeye

確かに全国大会(岡山)と東京男フェスの日程が詰まっている状況ですよね。
売れている芸能人並のスケジュールを是非経験したいです!(笑)
そんなに甘くはありませんが...
あっという間にコンクール本番を迎えます。
頑張りましょう!
by malechoirpopeye (2008-04-15 20:42) 

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