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千原英喜 委嘱新作発表講習会 [千原英喜氏]

1/31(土)、滝野川会館大ホール(北区)にて開催された『千原英喜 委嘱新作発表講習会』を受講した。
ポパイ:N島アニキさん、N君、トンペイ:Kさん、音空:Nさんとご一緒する。

▼JCDA合唱講習会シリーズVol.16 −千原英喜 委嘱新作発表講習会
 日時:2009年1月31日(土) 13:00〜16:00
 場所:滝野川会館大ホール
 講師:清水敬一氏  ゲスト:千原英喜氏
 モデル合唱団:松原混声合唱団
 主催:JCDA日本合唱指揮者協会  
 後援:社団法人全日本合唱連盟/全音楽譜出版社
    
 講習曲<2008年JCDA日本合唱指揮者協会委嘱作品>
 ▼ 「Ave maris stella アヴェ・マリス・ステッラ-花も花なれ、人も人なれ」
 (混声版・女声版)
 (詩/ラテン語聖歌:アヴェ・マリス・ステッラ、摩可般若波羅蜜多心経、
  細川ガラシャ夫人の和歌)
 ▼ 「国来(くにこ)、国来よ」 
  出雲国引き伝説による 女声(男声)合唱のために/混声合唱のために

JCDA関西支部の《コーラス・マスタークラス》を発端に企画された講習会。
話術に長けた清水氏の講習、作曲の意図や歴史背景、演奏表現する上でのポイント等を真摯に解説いただいた千原氏に、感銘を受けた。
「Ave maris stella アヴェ・マリス・ステッラ-花も花なれ、人も人なれ」が、実に素晴らしい!!
会場にいた聴衆の多くが、そう感じたに違いない。
曲を聴く以前の印象は、
 「キリスト教、仏教、ラテン語、日本語、般若心経、細川ガラシャ夫人の辞世の和歌が、どのような融合をするのか、本当に融合できるのか」
 ▼細川ガラシャ夫人・伝の和歌
  なびくまじ 我ませ垣の 女郎花(おみなえし) あらぬかたより 風は吹くとも
 ▼細川ガラシャ夫人の辞世の和歌
  散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ
と疑問を持っていたが、見事に裏切られ、全ての要素が解け合っている。
難易度が高い「おらしょ」や「どちりなきりしたん」は手が出せないが、「Ave maris stella」であるならば、優しく、心に響くメロディアスな旋律、しかも「千原節」を堪能できるといった、千原作品の良い所ばかりを凝縮した作品。
限られた条件下(難易度は優しく親しみやすく、聴衆参加型の曲等)、短期間で仕上げたとは思えない充実した秀逸の小作品と言えよう。
清水氏も指摘されていたが、《 摩可般若波羅蜜多心経 》をBassが下のB♭で唱えている箇所では、上3声は3度で和声進行をしていて、宇宙空間を漂っているような壮大な空間にいる錯覚を感じた。
心を掴まれた感覚に陥り、涙がうっすらと頬を伝わった。
聴衆が曲の一部に参加できるような仕組みが取り入れられていたことも、感動の一因でもある。
聴衆は、曲の前半《 摩可般若波羅蜜多心経 》と曲の終盤《 きりしたん聖歌−あべまりすてら でいまてるあるま− 》を参加して一緒に歌える仕掛けとなっている。
《 歌い手と聴衆の融合 》、一方通行ではない関係にも配慮された楽曲。
混声合唱の新しい名曲が誕生した瞬間を、感じ取ることができた。

「国来よ、国来」は、出雲国風土記の巻頭を飾る〈国引き伝説〉を題材にした作品。
冒頭に東西声の「東西、東西」(とざいとうざ〜い)が入り、口上が始まる。
曲中にも口上が再び現れ、掛け言葉〈ホーランエーヤ〉[聴衆はこの掛け言葉で参加可]、オプションではあるが鳴り物(平太鼓、神楽鈴、リコーダー)もあり、威勢がよく、華やかな民族性が前面に出たフォークロア作品。
クラスター歌唱(音の塊)も数カ所あり、それが神秘的な空間を表現していて実に効果的だ。
清水氏の口上が、非常に上手であった。

松原混声合唱団[女声:24名/男声:22名]の上質な演奏にも感動した。
関屋晋氏が亡くなった後も、清水氏を中心に、高い演奏レベルを維持している。
ソプラノの最前列で一番左端の方は、恐らくパートリーダーかソプラノのエースであろうか、耳心地が良く柔らかで伸びやかな声、絶対に落ちない音程の維持、その彼女の声を中心にパート全体が解け合っている。
アルトは地味ながら堅実なサウンドで、しっかりとソプラノを支えている。
ベースは若い方も多数いらしたが、成熟した男声で低音が十分響いている。
Bassの重鎮であるN氏の低音の響きは、群を抜いていて凄い。
やはり、4声の音程がきっちりと揃っていると心地良い、聴いていていストレスがない。

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開場前、会館内のレストランで昼食をとっていると、千原先生と清水氏もいらして、簡単ではあったがご挨拶をした。
 −現在の日本の音楽界になくてはならない作曲家、千原英喜さんの新作合唱曲のお披露目−
との講習会の触れ込みは、実に的確であろう。
上質な音に囲まれて、幸せな雰囲気が会場全体に漂っていた。
こんなに幸福感を感じることができた講習会は、私は初めてだ。
「ポパイ&オリーブ」[混声]で取り上げたい楽曲が、また一曲加わった。

春日部市立豊春中学校合唱部[混声]の指揮者と生徒が、最前列で受講していた。
休憩時間には、楽譜を手に千原先生へサインをお願いしていた。
豊春中学校はここ数年千原作品を選曲し、一昨年は「おらしょ〜Ⅲ楽章」、昨年は「那須与一」を取り上げ、朝日コンクール全国大会において、優秀な成績を残している。
私も実は「ラプソディー・イン・チカマツ」の楽譜を所持していたので、サインをいただきたいなあと思ったが、成人の観客は誰ももらっていなかったので、羞恥心が優位にたち、珍しく遠慮した。

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