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DVD新譜:早春スケッチブック [CD&DVD]

先週末に山田太一脚本の『早春スケッチブック』DVD全集(全12話)を購入した。
『早春スケッチブック』は、1983年1月から3月までフジテレビの金曜劇場で放映されたテレビドラマ。
日曜日から観始めて、今日やっと半分の第6話まで観終えた。

−ありきたりの生活に満足していますか− このドラマのテーマである。
日常的な生活を批判する男が出てきて、普通の市民生活を送っている家族が揺すぶられる話。
しかし、決して嫌がらせやストーカー的な陰湿な展開は全くない。

私は丁度大学受験中であったが、山崎努演じる日常的な生活を批判する男が発する台詞がとても強烈で、これから大学受験、入学、卒業、就職といった過程を通じて、これらの言葉は人として忘れてはいけないこと、人としてどう生きていくかということなんだろうなあと思いながら、毎回釘付けとなって観ていたドラマであった。
小室等作曲のオープニングテーマも優しく柔らかくて良い。
冒頭のクレジットタイトルシーンも見事で、ごくごく普通の日常生活場面(閑静な住宅街、公園で遊ぶ親子、テニスを楽しむ人々、朝の通勤電車等)とちょっと日常的でない白黒写真(日本刀を持った全身刺青の男など)が交差する構成で、日常と非日常のギャップを巧みに表現している。
『北の国から』のような少し説教じみた、押しつけがましい、お涙頂戴的な台詞及び演出ではなく、山田太一の台詞は、非常に現実的で冷静な物の見方で捉えていてまっすぐ心に届いていた。
ただ、まだ高校生で本当の意味はわかっていなかったのであるが。

今の自分は何を考えて生きているのか。
本当に楽しんでいるのか、それが本当の自分なのか、間違っていないのか等考えさせられる。
後半6話が楽しみである。

山崎努の印象的な台詞(第6話まで)
■「ありきたり」なことを言うな! お前は骨の髄まで「ありきたり」だ!
■善人め! 気の小さな善良でがんじがらめの正直者め!
■物でも人でも本当には見ていない。そういうことが続くと胸の中が空っぽになる。魂が虚ろになる。何かを心から好きになることもなくなる。
■小さなことでも毎日自分を抑える訓練をする。我慢をする。そうすると魂に力が蓄えられる。そういう力を蓄えると集中力が出る。ただ、我慢をし過ぎて自分で力を潰してはいけない。

<あらすじ> Wikipediaより転載
4人家族であるが、父・省一と良子、母・都と和彦はそれぞれ再婚同士。
長男の和彦は大学受験を迎えていた。
東大か一橋大学にも合格しそうな和彦が、ある女性によって大学受験(共通一次)を諦めてしまう。
ある女性が紹介した男性は和彦の血縁上の父親であった。
今までそれぞれの悩みを抱えつつ、4人の家族の形を維持してきた望月家。
それがある日突然、和彦の父親が現れることによって家族関係にヒビが入ってしまう。
収束しようと務める母・都、家族を守ろうと必死の父・省一、大学受験に集中しなければならない息子・和彦、なんとかして家族崩壊を避けたい娘・良子。
そして、その家庭の安泰を壊そうとするかのような和彦の血縁上の父・竜彦。
和彦にとって血縁上の父親の出現は大きなショックであった。
やがて彼らは本当の家族とは何か、死を直前にした血縁上の父にしてやるべきことは何か、別居とはいえ本当の父親に合わせておくべきではないか、と苦悩する省一。
登場人物のさまざまな思いが交錯し、それぞれがそれぞれを思いやって物語は大団円を迎える。

山崎努、岩下志麻、河原崎長一郎といった名優の演技が実に素晴らしい。
子供役の鶴見辰吾と二階堂千寿もかなりの好演である。
出演者全員、誰一人見劣りすることがない、非常に稀なテレビドラマであると思う。
河原崎長一郎は、好きな俳優の一人であった。
日本の優しい父親像を好演し、善良で実直なごくごく普通の男を演じたら、天下一品であったように思う。
早坂暁脚本の『花へんろ』での善良な商店主役が一番好きであった。
糖尿病と脳梗塞を煩い、療養生活を送り、2003年9月急性心不全のため64歳で逝去した。
名優の一人が去り、残念でならない。

早春スケッチブック DVD-BOX

早春スケッチブック DVD-BOX

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2005/06/01
  • メディア: DVD


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