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東京景物詩・第二 [多田武彦氏]

多田武彦氏の新曲:男声合唱組曲「東京景物詩・第二」が、下記にて初演されるとのこと。
多田武彦[タダタケ]データベース。に情報提供されていた(8/31掲載で一部転載)
 作曲年月日:2009年7月7日 OSAKA MEN'S CHORUSによる委嘱
 初演指揮者:安井直人氏
 初演年月日:2010年5月16日(予定)
       OSAKA MEN'S CHORUS創立45周年記念第36回リサイタル
 詩:北原白秋(詩集:東京景物詩及其他)
 曲構成:6曲 雨あがり/梨の畑/六月/薄荷酒/蟇/秋

個人的に楽しみにしていたのが、「東京景物詩・第二」だ。
以前から「東京景物詩」の続編を期待していて、いずれは大学男声合唱団OB会が委嘱するであろうと勝手に思っていた。
単純な私は、薄荷酒[はっかざけ]という表題に、強い興味を抱く。
 男声合唱組曲「東京景物詩」(1991年初演)
 東京大学音楽部コールアカデミーOB会による委嘱(初演指揮者は多田武彦氏)
 
 Ⅴ. 冬の夜の物語
  女はやはらかにうちうなづき、
   男の物語のかたはしをだに聴き逃さじとするに似たり。
    外面にはふる雪のなにごともなく、
     水仙のパツチリとして匂へるに薄荷酒青く揺らげり。

名曲と評されている「東京景物詩」は、
 ▶2002年1月:第13回SVEC [ Ⅰ. あらせいとう Ⅵ. 夜ふる雪 ]
 ▶2002年9月:ポパイ第2回演奏会 [ 全曲演奏 ]
 ▶2003年1月:第14回SVEC [ Ⅴ. 冬の夜の物語 ]
にて歌う機会を得て大変感激し、その後多田作品に傾倒していく。
これほどまでに詩の世界(情景描写・心理描写等)を人間の声による和声、旋律、リズムにて具現化する作曲家がいるんだなあと鳥肌が立ち、別の角度から衝撃的であった。
合唱を始めたのが1999年8月、少しずつではあったが合唱らしい発声が身に付き始め、男声合唱の魅力が判り始めた頃..... 懐かしい記憶であるなあ。

近年作曲された作品の初演を、DVDやステージで聴かせていただく機会があった。
 ▶2009.3.14:男声合唱組曲「更紗模様」  詩:北原白秋  クローバークラブ 
 ▶2009.3.29:男声合唱組曲「北国・第二」 詩:丸山 薫  男声合唱団秀声会 
 ▶2009.7.26:男声合唱組曲「過ぎし日」  詩:北原白秋  慶應ワグネルOB    
残念ながら、「百たびののち」(詩:三好達治/上智グリー・OB合同/2009.6.28)は聴いていない。
さて、「東京景物詩・第二」の初演演奏は聴けるであろうか。
 ●多田先生の活躍
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コメント 8

joshua

立教グリー現役も定演で委嘱初演をするそうですよ。

男声合唱組曲「南国の空青けれど」
1.憩らひ  2.夜想楽  3.晩春  4.窓下楽  5.夢のあと  6.南国の空青けれど
作詩:立原道造  作曲:多田武彦  指揮:高坂徹

by joshua (2009-09-02 06:59) 

malechoirpopeye

joshuaさん
情報提供いただきまして、ありがとうございました。
うっかり見過ごす所でした。
11/14(土)東京芸術劇場大ホール、聴きに行きたいと思います。
女声ステージは、佐藤賢太郎氏の「Missa Trinitas」を選曲とのこと。
若手作曲家とベテラン作曲家の作品響演が、楽しみです。
by malechoirpopeye (2009-09-02 20:52) 

せき

「南国の空青けれど」が初演される立教大学グリークラブ第100回定期演奏会ですが、10月30日にOB会公式サイトの掲示板へチケットについて告知が書き込まれました。下記に抜粋転載します。

> 皆様のおかげで、本日をもちましてチケットが完売いたしましたことをご報告させて頂きます。誠にありがとうございました。
> これに伴いまして、キャンセルが出ない限り、当日のチケット販売はございません。当日ご購入を予定されていた方はご了承の程お願い申し上げます。

聴きに行くのでしたら、お早めに東京芸術劇場へ足を運んだほうがよろしいかと存じます。「Missa Trinitas」は開演後すぐのステージですし。
by せき (2009-11-03 02:55) 

malechoirpopeye

情報提供とご指摘いただきまして、ありがとうございます。
1)立教大学グリークラブ第100回定期演奏会
 行く予定でしたが、急遽仕事関係の研修会受講により、聴きに行けなくなりました。
2)瀧口修造=武満徹=「手づくり諺」
 お〜、そうでしたね。
 英訳されていたので、意識していませんでした。
 早速、音源を聴きました。
3)「日本の絶版・未出版男声合唱曲」サイト
日本の男声合唱界において、大変貴重な資料ですね。
私の情報収集アンテナはまだまだ低いので、今後もご指導宜しくお願いします。
by malechoirpopeye (2009-11-03 20:36) 

湖の愚老人

「東京景物詩・第二」の初演はお聞きになられましたでしょうか?

親しみやすい曲創り、メロディーで、6つの曲構成も良く出来ていて
『雪と花火』に続く名曲と思いました。

初演も素晴らしく、指揮者の安井さんは、言葉の歌わせる扱いを
よく心得ておられて、よくある関西弁のような言葉の歌い方とか
八分音符が続く言葉が音符が見えるような歌い方がなく、
白秋の詩が多田先生の曲にうまく乗って、各曲それぞれ詩情豊かに
歌われたと私は高く評価しています。

楽譜ははやばや メロス楽譜社から出版されています。
初演音源はまもなく、ジョバンニレコードから発売される予定とか。

多田先生は凄い!!
多田先生の曲を きちんとした日本語で その風景、画像が見えて
くるような 詩情豊かに歌いたいものです。

by 湖の愚老人 (2010-09-10 12:55) 

malechoirpopeye

湖の愚老人様
大変共感するコメントをいただきまして、ありがとうございます!
>多田先生の曲を きちんとした日本語で その風景、画像が見えて
 くるような 詩情豊かに歌いたいものです。
多田作品ファンである私も、正しく同感です。

最近多田先生とお話する機会がないのですが、友人:K氏が頻繁に多田先生とやりとりしています。
●多田武彦<公認サイト>
 「合唱音楽に関する効率的練習方法」などを是非ご覧ください。
 http://www.max.hi-ho.ne.jp/rkato/Document/yaroukai/tadatake_kounin_sight_top.html

「東京景物詩・第二」の初演音源は、残念ながら未聴です。
これから購入に向けて、情報収集いたします。
「雪と花火」に続く名曲とのご感想..... 実に楽しみです!
今後共、どうぞよろしくお願いいたします。
by malechoirpopeye (2010-09-10 21:31) 

湖の愚老人

ジョバンニ・レコードから発売になった「東京景物詩・第二」のCDを聞きました。大阪メンズコーラスの初演ステージのライブ録音です。とても歌詞を大事にされた演奏で、弾力ある魅力的な大人のアンサンブルによるその音楽は、私には、白秋の息遣いが目の前に迫ってくるようで感動的なものでした。

初演を聞いた時は、いずみホールの音響の良さで、澄んだアンサンブルが客席でひろがり、聞く者を包み込むようなコーラスだったように思いますが、CDで聞くと、その音楽はとても生々しくて、からたちの花やこの道や多くの唱歌を書いた白秋が20代にこんな詩を書いていたんだと、若き白秋の激しい人生を見せ付けられ、その詩のもつ生命力を、安井直人さんは大阪メンズコーラスをうまく導いて、多田音楽のもつノスタルジックな和声の紡ぎから見事なドラマトゥルギーを表現されていて、立派な大人の音楽だと思いました。

最近多田作品のCDを続々発売して多田音楽を披露されている「なにわコラリアーズ」の演奏からは見出せない白秋の若き日の激しい感性ともがきが、大阪メンズコーラスの演奏では見事に表現されていると思います。

さて、大阪メンズコーラスの名演奏が、今年の4月16日(土)の夜、再び 大阪いずみホールで聞くことができるとの情報が入りました。
初演者の責務において、初演後、この曲を自家薬籠として、どう磨き、どう育てておられるのか、是非聞いてみたいと思います。

以前、関西でJAMCAの演奏会があり、多田先生作曲の「草野心平の詩から」という組曲が数百人で合同演奏されました。
この組曲は慶應義塾ワグネルソサイェティが畑中先生の指揮でよく定演にとりあげ、その一糸乱れずに、それぞれの詩の息吹きと多田音楽の美しさを後期印象派の絵画のごとく魅力的に演奏され、草野心平氏が「これは草野心平の展覧会の絵だ」と言われた、とのことが紹介されていました。

ところが上記JAMCA演奏会では、指揮者の富岡健さんは、この組曲を構成する一連の詩と音楽の息吹に時間軸を持ち込みドラマトゥルギーを導き、畑中名演奏とは一味違う演奏を達成されました。

「東京景物詩・第二」も組曲を構成する詩を順に読み解くと、大阪メンズコーラスの指揮者安井直人さんが表現されている白秋の人生のドラマトゥルギーを感じることができるのですが、さらに、多田先生の詩の並べ方を読み解くと、これらの詩は早い春(3~4月)からはじまり、5月、6月、7月、8月、9月という季節の流れ、即ち時間軸を見つけることができ、それぞれの詩の発表された時期とは関係なく、多田先生の選ばれ、配置された詩群から、人生のほのかさやどろどろとしたもがき苦しみも時と共になんらかの結末に至りながら人生が過ぎていくという、きっとそれは多田先生の最近の心境がこの組曲作品には重ねられているのではないかと、私はそんな気がするのです。

「東京景物詩・第二」の最後の曲「秋」は、ネコヤナギの花から始まって多くの花が咲き緑が茂り、そして季節の活動期がピークを終え、晩夏から秋風を感じ始めるとき、それまでの悩み苦しみは何もなかったかのように、白秋は黒いこうもり傘をさして颯爽と歩いていく。

私は、深読みかもしれないが、そんな多田先生の詩の取り上げ方を感じたとき、この「東京景物詩・第二」という組曲は、「雪と花火」という組曲を越えた、多田先生の最近の心境を映し出した「名作」と言いたい。

大阪メンズコーラスは、この4月にはどんな風に演奏してくれるのであろうか?!楽しみである。
by 湖の愚老人 (2011-01-25 03:55) 

malechoirpopeye

湖の愚老人様
洞察が深く、鋭い感性に満ちた文章をお寄せいただきまして、本当にありがとうございます。
圧倒されました..... 何度も読み返しております。
物事の本質をしっかりと把握した上で何かを語らないとけないことと、併せて自分の文章構成力の低さ、思いや感覚だけで語る文体の軟弱さを感じました。
非常に勉強になりました。

多田先生、大阪メンズコーラスの皆さんが、さぞお喜びでしょうね。
通常、多くの合唱団では委嘱初演後に再演する機会は少ない現状です。
初演後、あまり期間を空けずに再演するとは、それだけ曲に惚れ込んでいる証拠ですね。
残念ながら、未だ未聴です。
共感に至らず、また上手いコメントができず申し訳ありません。

現在ポパイにおいて「草野心平の詩から」全曲を取り上げています。
>多田先生の曲を きちんとした日本語で その風景、画像が見えて
 くるような 詩情豊かに歌いたいものです。
この姿勢を忘れることなく、存分に酔いしれて歌いたいと思います。
今後共、よろしくお願いいたします。
by malechoirpopeye (2011-01-26 21:12) 

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