日本合唱協会第169回定期演奏会「もう2つのまほろば」 〜アイヌと琉球を歌う〜 [千原英喜氏]
4/9(金)、日本合唱協会第169回定期演奏会「もう2つのまほろば」 〜アイヌと琉球を歌う〜を鑑賞した。
●日本合唱協会第169回定期演奏会「もう2つのまほろば」 〜アイヌと琉球を歌う〜のご案内
会場は東京文化会館小ホール、コール・グランツ:K氏、ポパイ:N氏とご一緒した。
▶コール・グランツ:K氏の紹介記事はこちら
K氏に事前に指定席チケットを手配いただき、中央の真ん中といった好位置。
開演前、休憩時間中に予期せぬことばかりが起こり、何だか得した気分になった。
【その1】
・2列後ろに千原英喜氏が着席され、開演前にご挨拶、暫し歓談した。
・今回の演奏会で披露される委嘱新作は、大変順調に作曲できたとのお話であった。
【その2】
・K氏の知人:酒井 清氏(日本合唱協会団員・今回は降番)のご紹介で、日本合唱協会
指揮者:片野秀俊氏、作曲家:柳田孝義氏と少しだけ話す機会を得た。
・片野氏とは昨年の秀声会演奏会に対する感想、柳田氏とは文教大学吹奏楽部の活躍。
【その3】
・休憩時間、ロビーに進行役:日下部吉彦氏がいらしたので、K氏と共に真っ先に駆け
寄り、ご挨拶し名刺交換させていただく。
・多田武彦<公認サイト>、昨年発行の【ハーモニー 2010年1月・第151号・冬号】
に掲載された日下部氏の寄稿文「とっときの話」、テレビ神奈川収録番組の[多田武
彦氏との対談]についてお話した。
【その4】
・休憩時間、ロビーにて千原英喜氏と再度歓談、先月末、春日部市立豊春中学校合唱部
の演奏会を聴きに春日部高校センテニアルホール(ポパイ演奏会の本拠地)までいら
したとのこと。
・豊春中学校合唱部は中学生ながら、昨年千原氏の「チカマツ」を選曲し、NHKコンク
ール全国大会、全日本合唱コンクール全国大会にて上位入賞。
5月開催予定(ベルギー)の国際青少年音楽祭に出場する豊春中学校合唱部へ委嘱新曲
を書き下ろしたとのことだ。
[下記写真は、酒井 清氏からご提供いただく]
[左:日下部吉彦氏]
【雑感】
・1963年発足の日本初のプロ室内合唱団ということで、変な先入観を持ち、きっとビブ
ラートが強いであろう、個々の技量を前面に出し、パート内の音色の統一感やアンサン
ブルは、ややチグハグかなあと思ったが、全くの真逆であった。
ノンビブラート、音色の統一、パート間の声量バランス、殊にハモリ感が抜群で驚いた。
・Sop:6、Alto:6、Tenor:4、Bass:4の計20名編成。
・Bassが非常に安定していて、深い重厚な響きで和声を支えていた。
・倍音が鳴っているからであろうか、4声の和声が大変心地良い。
・強音と弱音の瞬時の切替が、実に見事。また、弱音でも声の勢いが緩まない。
・時々、やや淡白な表現が聴こえて残念であったが、短期間での歌い込みは難しい。
・進行役:日下部吉彦氏の解説が的確で、流暢な語り口に感心した。
・指揮者:山崎 滋氏は、藤井宏樹氏のご兄弟かなあと思えるほど、顔と背格好がよく似て
いらした。
合唱団への指示が的確で、流石にプロだなあと、こちらも感心した。
高校吹奏楽部時代の同期の指揮者のポージング/やや猫背の姿勢(失礼)/左手の指示
の出し方がよく似ていて、吹奏楽部時代を回顧した。
清水 脩 「アイヌのウポポ」〜ピリカ ピリカ/恋歌
・男声合唱だと思っていたが、何と!混声合唱版を初めて聴いた。
哀愁漂う「ピリカ ピリカ」の旋律に、鳥肌が立った。
湯山 昭 「コタンの歌」〜チポ・ハウ(船漕ぎ歌)/熊のウポポ(坐歌・すわりうた)/
カエルのイフンケ(子守歌)
・組曲全曲を未だ聴いていないが、名曲揃いだなあと感じた。
千原英喜 「3つのアイヌのうた」[2010年日唱 委嘱新作初演]
1)よびかわし−石狩川流域のリムセ(踊り歌)
2)眠りの精−道南・静内のイフムケ(子守唄)
3)マツリ(祭り・祀り)−釧路地方のウポポ(坐り歌)
・今回で3回目?の委嘱作品とのこと。小倉百人一首より「歌垣」[2008年]等。
・千原氏の【新しい音】が誕生した印象を受けた。
旋律素材は日本放送協会「アイヌの伝統民族」(1965年発刊)から6つほど選択した
とのこと。
・終曲の高揚感(掛け声あり)が、素晴らしい。
・3曲で15分弱の組曲、出版されたら広く歌われる楽曲であろう。
金井喜久子 「沖縄民謡による合唱曲」〜てんさぐの花/木やり唄
・平易な和声と聴き慣れた旋律に、心が和む。
柳田孝義 琉歌悲抄[2010年日唱 委嘱新作初演] 詩:よしや思鶴
1)及ばらぬとめば 2)流れる水に 3)恨む比謝橋や
4)寄辺ないものや 5)たのむ夜やふけて
・和声とピアノ伴奏が前衛的な作風で、凡人の私には理解が難しい。
・歌人のよしや思鶴(1650年頃生)は、18歳で亡くなった遊郭の女性、詩が切なくて
美しい。【五七五七七】ではなく、【八八八六】の言葉で綴られている。
・それぞれの民族の叙事詩が現代まで継承されていることに、改めて感銘を受けた。
ユーカラ[アイヌ]、カレワラ[フィンランド]等。
叙事詩ではないが[おもろ](琉球の古い歌謡)、[古事記](日本最古の歴史書)
・アイヌ民族楽器のトンコリとムックリの演奏、アイヌの踊り、琉球舞踊も拝見。
・アンコール曲は、沖縄県民に広く浸透していると紹介された「えんどうの花」。
初めて聴いたが沖縄音階は不在、平易な編曲と上質な和声が相まって、心に沁みた。
大変素晴らしい楽曲! 即気に入った。
「えんどうの花」 詩:金城栄治 曲:宮良長包
【曲はこちら】
えんどうの花の 咲く頃は
幼い時を 思い出す
家の軒端に 巣をくって
暮れ方かえった あのつばめ
えんどうの花の 咲く頃は
冷たい風が 吹きました
妹おぶって 暮れ方に
苺を取りに 行った山
今朝はつめたい 風が吹き
つばめが一羽 飛んでいる
えんどうの畑は 寒けれど
わたしゃ一人で 帰りましょう
●日本合唱協会第169回定期演奏会「もう2つのまほろば」 〜アイヌと琉球を歌う〜のご案内
会場は東京文化会館小ホール、コール・グランツ:K氏、ポパイ:N氏とご一緒した。
▶コール・グランツ:K氏の紹介記事はこちら
K氏に事前に指定席チケットを手配いただき、中央の真ん中といった好位置。
開演前、休憩時間中に予期せぬことばかりが起こり、何だか得した気分になった。
【その1】
・2列後ろに千原英喜氏が着席され、開演前にご挨拶、暫し歓談した。
・今回の演奏会で披露される委嘱新作は、大変順調に作曲できたとのお話であった。
【その2】
・K氏の知人:酒井 清氏(日本合唱協会団員・今回は降番)のご紹介で、日本合唱協会
指揮者:片野秀俊氏、作曲家:柳田孝義氏と少しだけ話す機会を得た。
・片野氏とは昨年の秀声会演奏会に対する感想、柳田氏とは文教大学吹奏楽部の活躍。
【その3】
・休憩時間、ロビーに進行役:日下部吉彦氏がいらしたので、K氏と共に真っ先に駆け
寄り、ご挨拶し名刺交換させていただく。
・多田武彦<公認サイト>、昨年発行の【ハーモニー 2010年1月・第151号・冬号】
に掲載された日下部氏の寄稿文「とっときの話」、テレビ神奈川収録番組の[多田武
彦氏との対談]についてお話した。
【その4】
・休憩時間、ロビーにて千原英喜氏と再度歓談、先月末、春日部市立豊春中学校合唱部
の演奏会を聴きに春日部高校センテニアルホール(ポパイ演奏会の本拠地)までいら
したとのこと。
・豊春中学校合唱部は中学生ながら、昨年千原氏の「チカマツ」を選曲し、NHKコンク
ール全国大会、全日本合唱コンクール全国大会にて上位入賞。
5月開催予定(ベルギー)の国際青少年音楽祭に出場する豊春中学校合唱部へ委嘱新曲
を書き下ろしたとのことだ。
[下記写真は、酒井 清氏からご提供いただく]
[左:日下部吉彦氏]
【雑感】
・1963年発足の日本初のプロ室内合唱団ということで、変な先入観を持ち、きっとビブ
ラートが強いであろう、個々の技量を前面に出し、パート内の音色の統一感やアンサン
ブルは、ややチグハグかなあと思ったが、全くの真逆であった。
ノンビブラート、音色の統一、パート間の声量バランス、殊にハモリ感が抜群で驚いた。
・Sop:6、Alto:6、Tenor:4、Bass:4の計20名編成。
・Bassが非常に安定していて、深い重厚な響きで和声を支えていた。
・倍音が鳴っているからであろうか、4声の和声が大変心地良い。
・強音と弱音の瞬時の切替が、実に見事。また、弱音でも声の勢いが緩まない。
・時々、やや淡白な表現が聴こえて残念であったが、短期間での歌い込みは難しい。
・進行役:日下部吉彦氏の解説が的確で、流暢な語り口に感心した。
・指揮者:山崎 滋氏は、藤井宏樹氏のご兄弟かなあと思えるほど、顔と背格好がよく似て
いらした。
合唱団への指示が的確で、流石にプロだなあと、こちらも感心した。
高校吹奏楽部時代の同期の指揮者のポージング/やや猫背の姿勢(失礼)/左手の指示
の出し方がよく似ていて、吹奏楽部時代を回顧した。
清水 脩 「アイヌのウポポ」〜ピリカ ピリカ/恋歌
・男声合唱だと思っていたが、何と!混声合唱版を初めて聴いた。
哀愁漂う「ピリカ ピリカ」の旋律に、鳥肌が立った。
湯山 昭 「コタンの歌」〜チポ・ハウ(船漕ぎ歌)/熊のウポポ(坐歌・すわりうた)/
カエルのイフンケ(子守歌)
・組曲全曲を未だ聴いていないが、名曲揃いだなあと感じた。
千原英喜 「3つのアイヌのうた」[2010年日唱 委嘱新作初演]
1)よびかわし−石狩川流域のリムセ(踊り歌)
2)眠りの精−道南・静内のイフムケ(子守唄)
3)マツリ(祭り・祀り)−釧路地方のウポポ(坐り歌)
・今回で3回目?の委嘱作品とのこと。小倉百人一首より「歌垣」[2008年]等。
・千原氏の【新しい音】が誕生した印象を受けた。
旋律素材は日本放送協会「アイヌの伝統民族」(1965年発刊)から6つほど選択した
とのこと。
・終曲の高揚感(掛け声あり)が、素晴らしい。
・3曲で15分弱の組曲、出版されたら広く歌われる楽曲であろう。
金井喜久子 「沖縄民謡による合唱曲」〜てんさぐの花/木やり唄
・平易な和声と聴き慣れた旋律に、心が和む。
柳田孝義 琉歌悲抄[2010年日唱 委嘱新作初演] 詩:よしや思鶴
1)及ばらぬとめば 2)流れる水に 3)恨む比謝橋や
4)寄辺ないものや 5)たのむ夜やふけて
・和声とピアノ伴奏が前衛的な作風で、凡人の私には理解が難しい。
・歌人のよしや思鶴(1650年頃生)は、18歳で亡くなった遊郭の女性、詩が切なくて
美しい。【五七五七七】ではなく、【八八八六】の言葉で綴られている。
・それぞれの民族の叙事詩が現代まで継承されていることに、改めて感銘を受けた。
ユーカラ[アイヌ]、カレワラ[フィンランド]等。
叙事詩ではないが[おもろ](琉球の古い歌謡)、[古事記](日本最古の歴史書)
・アイヌ民族楽器のトンコリとムックリの演奏、アイヌの踊り、琉球舞踊も拝見。
・アンコール曲は、沖縄県民に広く浸透していると紹介された「えんどうの花」。
初めて聴いたが沖縄音階は不在、平易な編曲と上質な和声が相まって、心に沁みた。
大変素晴らしい楽曲! 即気に入った。
「えんどうの花」 詩:金城栄治 曲:宮良長包
【曲はこちら】
えんどうの花の 咲く頃は
幼い時を 思い出す
家の軒端に 巣をくって
暮れ方かえった あのつばめ
えんどうの花の 咲く頃は
冷たい風が 吹きました
妹おぶって 暮れ方に
苺を取りに 行った山
今朝はつめたい 風が吹き
つばめが一羽 飛んでいる
えんどうの畑は 寒けれど
わたしゃ一人で 帰りましょう
なかなか濃いプログラムですね~。
千原さんの新曲、楽譜が出版されるのが楽しみですね。
男声版に編曲してくれませんかね~(笑)。
※日下部さんもお元気そうで…。
日下部さんは同志社グリーの学生指揮者だったことは有名ですが、
実は同志社学生混声合唱団CCDという、グリーから派生した
私の所属していた混声の団の初代学生指揮者でもあり
(※グリーのメンバーが混声とグリーも兼ねていたのです。
その後完璧に分かれて別々の活動となりましたが)、
20年程前はよくお世話になりました。
懐かしいです…。
by 山氏@安芸 (2010-04-13 08:38)
山氏@安芸さん
はい、濃いプログラムでした!
更に、19時開演で終演が21:30。フ〜。
腹は減るしアルコールが恋しいし、正直後半は厳しかったですね。
千原氏新曲が男声版に編曲されたら、Goodだと思います。
本当に偶然でしたが、日下部氏と名刺交換できたのは嬉しかったですね。
寺漢さんのEster Magiの動画2作品、速攻でお気に入りに入れました。
http://www.youtube.com/user/malechoirpopeye
私にとっては、何よりの収穫です。
ありがとうございます。
勉強します!
by malechoirpopeye (2010-04-14 20:05)